根抵当権を初心者でも司法書士試験に合格できるレベルで徹底解説

このページは


  • 根抵当権ってどんなものなのだろう
  • 根抵当権の特徴を知りたい
  • 抵当権と根抵当権の違いを分かりやすく知りたい

という人の為に、「司法書士試験で根抵当権を勉強中だけどうまく理解できない」という人でも理解できるよう、わかりやすく解説しています。

根抵当権は抵当権を企業向けにカスタマイズした制度。

その為、いくつか原則を無視した部分や優遇、冷遇ポイントも存在しています。

根抵当権のことをしっかり学べば、抵当権についても自然と理解できるようになっていますよ。

根抵当権ってどんな権利なの?

根抵当権とは上限金額の範囲内なら「何度でも」「いくらでも」お金を借りることができるシステムのこと。

当然、借りる以上は返済を行わなければすぐに上限金額に達してしまいます。

ゲームで例えるなら、上限に達するまではノーダメだけど適度に修理を行わなければ壊れてしまう盾のようなものですね。

ここでいう上限金額の事を「極度額」と言いますので、根抵当権と一緒に覚えていてください。

借りた以上は最低でも毎月支払い義務が発生するよ(返済ペースは契約による)。

根抵当権を結んだら極度額も設定されるので、契約書には「根抵当権(極度額:○○万円)」という表記があるはずです。

極度額は担保となる物件の金額より数%低い金額になるのが一般的ピヨ。

また、法律上保証される金額も設定された極度額までなんだよ。

極度額の変更は借りた人・貸した人の両者が合意すれば可能です。

また、極度額の範囲は「借りたお金」以外にも「利息」「利息損害金(返済が遅れた場合のペナルティ)」も含むので注意。

根抵当権の特徴はいくつかありますが、最も重要なのは「借金を全額返金しても消えない(付従性がない)」という点ですね。

これは根抵当権を結ぶ人は以下のような特徴があるからです。

■根抵当権を結ぶ人の特徴

  • 何らかの事情により何度も借金をする可能性が高い
  • 担保となる物件の数以上に借金の契約をすることがある
  • 借金をするたびに抵当権の書類を書くのが面倒だと思っている
  • 返済能力は十分ある

結論根抵当権は企業や会社が契約するもの

会社は商品の仕入れや設備購入といったことで借金をすることがあります。

ただ、その成果であるお金が入ってくる前に借金の返済日が来てしまい「このままでは黒字なのに倒産してしまう…」といったケースも度々見られます。

あの「空想科学読本」の著者として有名な柳田理科雄さんも、塾の赤字を本の印税で賄おうとしたピヨ。

けど、印税の振り込み日より借金の返済日の方が早くて結局塾は潰れてしまったんだよ。

このような「あと数日待てば借金なんて返済できるのに…」という場合に根抵当権を結んでおけば、根抵当権でとりあえず借金を返済。

お金が入ったら根抵当権の借入を戻れば無事に事業を運営できますよね。

なので根抵当権は会社向けの契約になるのです。

契約を結ぶ側(お金を貸す側)としても、いちいち抵当権契約を結んでいたら抵当権設定登記のせいでいっぱいお金が飛んじゃうピヨ。(1回あたり数万円)

根抵当権は貸す側・借りる側両方にメリットがあるんだよ。

包括根抵当権の禁止

根抵当権は極度額の範囲内なら何度でも借金ができるので、「取引を全てを根抵当権にしよう」と思う人も出てきます。

そういう人を防ぐ為に、根抵当権でお金を借りれるのは主に買契約、商品供給取引、銀行取引だけと決められています。

これを「包括根抵当権の禁止」といいます。

根抵当権を使って何でもかんでも購入されたら、貸金業を営んでいるのと同じだピヨ。

だから包括根抵当権(すべての物を根抵当権で購入すること)を禁止しているんだよ。

元本確定って何だろう?

根抵当権には元本確定というものがあります。

この元本確定を一言で説明するなら、「根抵当権をやめるから、○○日までに借金の残金を○○万円にします」という事。

元本確定を行うと通常の抵当権と同じ扱いになり、その契約ではもうお金を借りることが出来なくなります(再度お金を借りるには別の契約を結ぶ必要がある)。

元本確定という言葉は、借り手から見て「貸したお金の合計金額を決めた」という観点から来ています。

補足

元本は「利息を生じさせる元となる貸金」(ブリタニカ国際大百科事典より)という意味。

元本確定が行われる条件は民法により、以下のように定められています。

■元本が確定する11の条件

※根抵当権設定者・・・債務者(借りた人)
※根抵当権者・・・債権者(貸した人)


  1. 元々元本確定日を決めていた(第398条の6)
  2. 根抵当権にもとづいてお金を貸した人・借りた人のどちらかが6か月以内に「指定根抵当権者」もしくは「指定債務者」であるという登記を行わなかった場合(第398条の8第4項)。
  3. 根抵当権者もしくは債務者の会社が合併した際、根抵当権者が元本確定を申し込んできた場合(第398条の9)
  4. 元本確定期日が決まっていない状態で、根抵当権設定者(借りた人)が元本確定請求をしてから2週間が経過した場合(第398条の19第1項)
  5. 元本確定期日が決まっていない状態で、根抵当権者(貸した人)による元本確定請求をした場合(第398条の19第2項)
  6. 根抵当権で設定した担保が、競売・不動産収益執行・物上代位の差押を申し立て、開始決定又は差し押さえされた場合(第398条の20第1項1号)
  7. 返すべきお金を滞納して担保を差し押さえた時(第398条の20第1項2号)。
  8. 根抵当権者が担保物件を第三者の手によって差し押さえ、競売されそう(された)と知って2週間を経過した場合。
    もし、競売、差し押さえがされなかったら元本確定もなしになる。
    この場合に、競売手続の開始・差押が消滅した時は、確定しなかったものとみなされる(第398条の20第1項3号)。
  9. 債務者、債権者のどちらかが自己破産した時(第398条の20第1項4号)。
  10. 根抵当権の設定から3年経過したので根抵当権設定者が元本確定を要求した。
  11. 債権者・債務者のどちらかが死亡した場合

上記のような事情がある為、根抵当権は登記が必須です。

多くの場合は「指定した期間を迎えた」「3年経過した」「倒産した」の3つが終了条件になりますね。

根抵当権の抹消

根抵当権の抹消とは、根抵当権の契約が終わった際、国(法務局)に「根抵当権が終了したので担保の記述を消してください」申請することです。

このあたりは抵当権と同じですね。

申請しないと国の情報にはいつまでも担保処理されているので、相続や別の抵当権(根抵当権)を結ぶ際にちょっとしたトラブルになりがち。

根抵当権が終了したら真っ先に根抵当権を抹消しましょう

抹消方法は個人で申請するか、お近くの司法書士に依頼するという手があります。

個人ですれば費用を抑えられますが、司法書士に頼めば簡単・確実なので、予算がない場合以外はお近くの司法書士に相談しましょう。

根抵当権の消滅請求

「根抵当権の抹消」と言葉が似ているものに「根抵当権の消滅請求」というものがあります。

この根抵当権の消滅請求とは、第三者が「担保を極度額で購入するから担保登録を消してほしい」と根抵当者(お金を貸した人)に要求すること

これを行うことで、根抵当者は確実に極度額分のお金を得ることが可能です。

この制度を利用するには一定の条件があります。

■根抵当権の消滅請求が行える3つの条件

  1. 元本が確定していること
  2. 担保を買った第三者が請求を行うこと
  3. 極度額より債務金額が多い事(借金で首が回らなくなってきている)

民法 第398条の22より

条件その1:元本が確定していること

条件その1はなんとなく理解できますね。

元本確定によって返すお金の合計金額が決まっていないなら返済日も確定しておらず、今すぐお金を返さなくても問題はないわけです。

ですが元本確定をしてしまうと、通常の抵当権と同じで「返済日」が決まっており、その日にちまでにしっかり返済しないと行けなくなる。

だから元本は確定していないといけません。

条件その2:極度額より債務金額が多い事

(2)は極度額より債務金額が多くなってしまい、デフォルトの危機を迎えていることが条件ということ。

極度額より借金の方が少ない場合、たとえ返済のめどが立たなくなっても担保を売れば返済は可能となりますよね。

ですが、極度額より借金の方が大きくなると担保を売却しても借金を返済できない可能性が出てきます。

上で説明したように、極度額は担保を基準に設定している為。

そこで、「担保を購入する第三者が極度額を払ってくれたなら担保設定を削除してやろう」というわけです。

なぜ極度額までなのかというと、国が保証してくれるのは極度額までだから。

銀行の貯金で例えるなら、銀行がデフォルトしても口座に預けている1000万までは無条件で保証(極度額)するけど、それ以上はなくなるかもしれない(極度額を超えた借金)、ということですね。

極度額を超えた分は無担保債権となります。

当然ですが、お金を借りた人たとえ無担保となってもデフォルトをしない限りしっかりと返済しなければなりませんよ。

条件その3:担保を買った第三者が請求を行うこと

根抵当権の消滅請求は担保を買った第三者が根抵当者に申請しなければなりません。

なぜ借りた人では申請できないのか?

それは「借りた人が担保設定を取り消すには借金を全額返さなければいけない」から。

これは抵当権のページで説明した付従性の性質ですね。

担保を極度額で購入した第三者が担保の抵当権を抹消できるのは例外なのですよ。

根抵当権の消滅請求は、貸し手側の最低限の利益の保証第三者の最大限の利益の保障を守っている制度なんだピヨ。

抵当権と根抵当権の違いって何?

根抵当権と名前が似ている制度として抵当権というものがあります。

正確には、抵当権を借金を何度も行う企業向けにカスタマイズしたものが根抵当権。

では、抵当権と根抵当権、どういった点が違うのでしょか?

表では難しい用語が出てくるけど、あとでしっかり解説するピヨ。
 抵当権と根抵当権の違い
抵当権 違うポイント 根抵当権
 決まっている 返済日  元本確定まで実質決まっていない
 可能 連帯保証人  法律上できない(契約でつけている)
 他の人からも借りている場合は2年分 優先弁済 極度額すべて
 ある 付従性 ない
 ある 随伴性  ない
 できる  順位の譲渡  原則できない

このうち、返済日と優先弁済については説明済みなので省略(抵当権の優先弁護については抵当権のページをご覧ください)。

連帯保証人も根抵当権ではつけることができないとされていますが、現実では契約書にて設定していることが殆どなのでこちらも説明を省略させていただきます。

付従性がない

根抵当権は抵当権と違い、付従性というものが存在しません

付従性とは「借金が無くなったら担保契約も消滅する」という原則のこと。

根抵当権は借りたお金を全額返済しても元本確定後に借金が0でないと担保は消滅しません。

よって、根抵当権では付従性という土地を担保にした際の原則がないのですよ。

随伴性がない

付従性と同様に、土地を担保にした際の原則である随伴性も根抵当権では存在しません

随伴性とは、債券を別の人に譲渡した場合、自動的に抵当権もセットでついてくるというルール。

根抵当権の場合、債券が別の人に譲渡された場合でも根抵当権(担保)は移動しません。

これは根抵当権では多数の債権と担保が結びついている為、ひとつの債権を譲ったからといって担保まで移動させると多くの債権を有している人が損をしてしまう為です。

順位の譲渡ができない

根抵当権は元本が確定していない状態で順位の譲渡が出来ません。

これは民法398条12の「根抵当権の譲渡」によって定められています。

順位とは借金を返す順番の事。番号が若いほうが優先されて返済される。

ただ、これにはいくつか例外も存在しています。

例えば、借りた人の了承を得たのち、根抵当権の全てを第三者に譲渡すれば、その人が権利・順位をそのまま引き継ぎます。

これだけは覚えておけ!ピヨタローのまとめ3本の矢

  1. 根抵当権はお金を良く借りる企業の為のシステム
  2. 根抵当権は元本を確定させて初めて借りたお金が借金(貸した人から見れば元本)に変化する。
  3. 抵当権と比べ、一部制限がされている

根抵当権は抵当権と比べると「お金を借りる」という点で比較的自由度が高いシステムなんだよ。

ただ、「何をもってお金を借りるか」という部分で言えば自由度は下がっちゃうね。

根抵当権を使って借金(購入)できるのは買契約、商品供給契約、銀行取引だけ。

根抵当権を使って、業務用のパソコンとかき購入できないから注意してね。

あくまで「商売用」が原則だよ。そうじゃないと根抵当権を使った貸金業を運営できちゃうからね。

第三者、もしくは投資家として根抵当権を見る場合、最低限みてほしい部分は担保物件と極度額

「担保の何%を極度額として設定しているのか?」「万が一の場合、極度額すべてを回収できるのか?」「極度額をすべて回収できた場合の損はどれくらい?」を大まかに想像するといいでしょう。

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ピヨタローのひとこと

木曜日は何かと憂鬱な日だピヨ。

平日だったら連日の疲れでグッタリ。

休日だったら「明日休みなら三連休だったのに…」と考えてしまうピヨ。